売上アップの着眼点
- 公開日:2015/10/07
- 最終更新日:2021/02/12
今後ますます少子高齢化が進み、地方都市の人口は減少することが予想されます。
今回は、そのような状況を「仕方がない」と捉えることなく、対策を検討し、行動に移している企業の例をご紹介させていただきます。
販売のみに留まらない“心遣い”が大切
◆ 事例1 家庭より美昧しい家庭料理をめざす過疎地のスーパー
温泉地として有名な仙台市太白区秋保町は、人口約4,700人の過疎化した町です。この町の80坪ほどの小さなスーパー「主婦の店さいち」は、総菜を中心に売上を伸ばしています。
「日頃よく食べられる物は毎日売れる」という考えのもと、あえて手間のかかる総菜で、家庭でつくるよりも美味しいものをめざしたのです。
家庭の味だから、保存料や添加物を一切使っていません。夕方には半額にして売り切るため、持ち越し商品がなく、信頼感も生まれます。また、漬け物を「一切れ10円。10切れ100円」など、お客様の要望に応じて販売したり、1個の注文でも配達します。
中でも看板商品の「おはぎ」は「昔ながらの懐かしい味」と喜ばれ、開店前から行列ができるほどの人気です。20年前から価格据え置きの1個105円のおはぎは、1日平均5千個、土・日には、1万個を売り上げます。
「昔ながらの家庭の味を追求することと、トコトンお客様の要望に応えることに努めています。ライバルは同業者ではなく、家庭の主婦です」と佐藤社長は言います。
◆ 事例2 クレーム・ゼロに取り組むクリーニング業者
クリーニング業は衰退業種といわれています。1世帯当たりの年間クリーニング代は10年前の平均1万4千円から8千円へと、半分近くにまで落ち込んでいます。これは、家庭用洗濯機の性能が高まったことや素材の進化により自宅で洗濯できる衣料品が増えたためです。
また、クリーニングには、衣類の破れ、ボタンの紛失、生地の変色、匂いの付着などクレームがつきもので、「クレーム産業」と言われるほどです。
そんな中、和歌山市の(株)クリーン・サワは、従業員30人ほどと小規模ながらも、クレーム・ゼロに挑戦しました。同社では、「衣類についての勉強不足」「メーカーからの情報不足」などクレームの原因を分析し、200回を超える徹底した社員教育によって、意識改革と業務品質の向上をはかりました。
例えば、衣類を預かる際の検品から、素材や色合いに合わせて洗浄するなど、細かい対応をしています。
万一、クレームが発生しても、時間や費用は度外視して、徹底した対応をすることで、お客様から「ここまでやってくれるのか」と感激されるほどです。そして、同じミスを起こさないための仕組みづくりや改善を行っています。
また、「クリーンDry」という新しいドライクリーニング法を開発しました。従来の方法では、溶剤をろ過、循環して再利用するため、循環を繰り返すうちに、衣類に匂いや汚れが付着してしまうことがありましたが、「クリーンDry」は、溶剤を蒸留化することで、純粋な溶液だけを抽出し再利用することを可能にしました。
同社には、遠方からも宅配便で洗濯物が届くなど、熱烈なファンが絶えません。
◆ 事例3 得意先の販売をサポートする
東北の製麺業T社はスーパーに家庭用の調理麺を販売しています。
同社は、毎月の売上実績を分析し、前年を割っている得意先については、その得意先の麺類全体の売上や売場における自社商品の占有率を分析しています。
とりわけ得意先自体が売上を落としている場合には、先方のフロアマネジャーと一緒に販促作戦を練り、POP広告の工夫、販売員の派遣、店頭における試食販売の増加、店頭でのビデオ放映など徹底して得意先の目線に立った販売促進を細かくサポートしています。
今回ご紹介した事例のように着眼点をかえることで、ビジネスの新たな可能性が開けてくるのではないでしょうか。
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