日々の現金管理のポイント
- 公開日:2015/08/26
- 最終更新日:2021/02/12
日々の現金管理は、正しい経理処理の基本であり、会社の規模の大小に関わらず経営面からもおろそかにできません。
今回は、会社の現金の管理についてお話します。
現金の管理
こんなことはありませんか?
- 1週間など、「近日中に返せる」見込があるので、「後日、返せばいいか」と、つい会社のお金を借りてしまった。
- とりあえず、会社のお金を借用したが、借りたままになっている。
- 会社のお金を借用する際、ルールもなく、出金伝票なども切らず、メモ程度で済ませ、客観的な記録を何も残していない。
上記のように社長が私的な支払いのために安易に会社のお金を借用するようなことが頻繁に行われると、何に使ったかわからなくなり、公私の区別がつかなくなってしまいます。
このようなことでは、社員に示しがつかないだけでなく、不正の温床にもなりかねません。税務調査でも問題になりやすい点です。現金管理は、たとえ小規模な会社であっても、次の5つに留意しなければなりません。
POINT1 社長のお金と会社のお金を区別する
現金管理において、まず徹底しなければならないのは、会社と個人の現金を厳格に区別することです。社長は、自ら現金の受払いを行わない(会社の現金に触らない)ようにしなければなりません。
POINT2 現金の受払いは現金管理責任者が行う
現金の受払いを行う現金管理責任者を決めます。この責任者は、社長以外でなければなりません。
経理担当者が奥様など身内の場合
小規模な企業では、社長の家族(奥様など)が現金管理を担当していることが多いようです。
この場合、担当者は、社長から領収書等をもらって、それに基づいて支払うことを徹底します。
身内であっても、きちんとルールに基づいて現金の受払いを行う必要があります。
POINT3 現金での支払いは、日常的な小口なものに限定し、多額の現金を社内に常時保管しない
多額の現金を社内に常時保管しないようにします。
現金での支払いは、日常的で、頻度の高い少額な経費の支払いや、1回当たりの支払金額を限定して出納管理を行うようにします。
例えば、郵便物の不足料金や着払いの宅配便、少額の事務用品、茶菓代などです。電話・電気・ガス・水道代などの公共料金は、白動振替を利用するようにします。
それ以外の現金支払いについては、1件当たりの支払限度額(例えば5,000円)を事前に決め、その限度額を超える場合には、請求書の発行を求め、銀行振込みにします。
出納締め後の金庫内の現金残高の上限(例えば、3万円、5万円など)を決めておき、それ以上の現金は普通預金で管理することで、現金の不要な動きを減らします。
現金売上や売掛金回収など現金入金が多い企業では、その入金されたお金からの経費の支払いをしないようにして、当日か、翌日の朝一番に銀行預金に預けます。
POINT4 社内精算のルールを明確に決め、支払いは領収書・請求書をもとに行う
交通費など社内の現金精算は頻繁に行うのではなく、週1回・毎週水曜日など精算日を決めてまとめて行います。
精算書等には、使途を必ず記入するようにします。路線バスなど領収書がもらえないものは、社内発行の「支払証明書」などを利用します。領収書等を現金管理責任者等に回す期限についても精算日の2日前など、社内ルールを決めます。
POINT5 日々の現金有高を確認する
1日1回、金庫内の日々の現金有高を、金種ごとに枚数、金額を数え、その合計金額を金種表(現金収支日報)に記入します。そして、現金の実際有高と帳簿残高が一致することを確かめ、その一致した帳簿残高を翌日に繰越します。
一致しない場合は、その日のうちに原因を調べます。入出金がない日でも現金有高を確認し、記録します。
売上レジがある場合
小売業、飲食店など、日常的に現金売上を扱う場合には、レジの現金と金庫内の通常の現金とを厳格に区別して管理します。
①レジの現金管理
レジの現金は、顧客からの売上代金の入金と釣り銭の支払いに限定し、レジの現金を経費などの支払いに充ててはいけません。
レジ締め後、当日の売上分は金庫に移すか、毎日預金へ預け入れるようにして、釣り銭として毎日同額を残します。
②金庫内の通常の現金の管理
仕入れや経費の支払いは、レジの現金からではなく、社内の金庫より支出します。
不足分の補充は、必ず預金より行います。やむを得ずレジとの間で入出金を行うときは、必ず入出金伝票を切り、現金出納帳に記録します。
記帳の適時性:適時とはグッドタイミングのこと
会社法第432条は、「株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない」としています。
「適時に」とは、「良いタイミングで」の意味。記帳の場合は「できるだけすみやかに」ということです。
例えば、現金取引の記帳であれば、「その日のうち」に、それ以外の取引についても「1週間以内」、
どんなに遅くとも「翌月末まで」に記帳するということを意味しています。
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